広末涼子からSPEED、ハロプロ、AKB&坂道まで。「合法的売春」としてのアイドルポップス最強論
海外からも愛される「日本のアイドル文化」の本質
■ロリコン系のアイドルファンに幸福をもたらした
モーニング娘。のメジャーデビュー曲「モーニングコーヒー」は、彼氏と初めての朝を迎えることへの憧れがテーマ。最年長の24歳で元OLだった中澤裕子はともかく、当時13歳(中1)の最年少メンバー・福田明日香にとってはけっこう背伸びした世界だったはずだ。
ハロプロ最強のアイドル・松浦亜弥では、セカンドシングルの「トロピカ~ル恋して~る」がエグかった。彼氏に南の島への海外旅行に誘われる歌だが、当時はまだ14歳。大胆な水着を買ってはみたものの「これをマジで着るのね」と焦ってダイエットしようとする乙女心が可愛い。しかも、あややはへそ出しの衣裳がトレードマークだったから、そんな彼女が焦るほど大胆な水着とはいったい…という妄想までかきたててくれた。
さらに、ミニモニ。では身長150センチ以下のメンバーを集めて童謡ポップス的な世界を展開。当然、世間の子供たちにもウケたが、そのことがロリコン系のアイドルファンにも幸福をもたらした。イベント会場では、ミニモニ。の4人だけでなく、親に連れられて集まる子供たちの姿にも萌えることができたからだ。
ハロプロはメンバーの卒業・加入による新陳代謝や、ユニット結成などにも積極的で、いわば平成のおニャン子、あるいはそれ以上によりどりみどり的な状況を出現させた。これに対し、かつておニャン子にも関わった秋元康が逆襲する。
2005年、AKB48を生み出し「会いに行けるアイドル」を標榜。そのコンセプトに合わせるように、握手会を主要戦略に組み込んだ。CD(かつてはレコード)を買うとアイドルと握手ができ、束の間の会話が楽しめるというのは、昔からあるが、あくまでイレギュラーな企画。AKBはこれをレギュラー化したのである。
これはある意味「合法的売春」としてのアイドル文化を最大限に活用したものだ。女性最古の職業は娼婦、などともいわれるように、売春は長年、仕事としても機能。江戸時代には遊郭が栄え、せめて会話だけでもと花魁に大金をはたく男たちもいたという。
ここ数十年、セックスを目的とした売春は違法とされているものの、風俗やパパ活のような抜け道も重宝されている。男性はもとより、女性にとってもホストのような存在がいて、性的な歓びを金で買うというのは人間において不即不離的な営みなのだろう。
アイドルもまた、そういう本質的欲望が生み出し、支えてきた文化だ。秋元はそのあたりを熟知しているように思える。